「小諸(こもろ)蒸留所」は、長野県小諸市に2023年に誕生した、世界水準のジャパニーズウイスキーを目指す新鋭蒸溜所です。マスターブレンダーは、台湾カバランを世界的ブランドに育てた立役者イアン・チャン。創業者・島岡高志とともに、「自分たちにしか造れない最高の日本ウイスキー」に挑みます。この記事では、蒸溜所の物語とものづくりの特徴、風土、ボトラーズ事情までを整理します。
目次
小諸蒸留所とは|カバランの名手が挑む、世界水準の日本ウイスキー
小諸蒸留所は、長野県小諸市で2023年に製造を開始した新しい蒸溜所です。最大の特徴は、その布陣。マスターブレンダーを務めるイアン・チャンは、台湾のカバラン蒸溜所を世界的評価へと導いた実績を持つ名手です。創業者の島岡高志は、アメリカの金融会社で役員を務めた経歴の持ち主。世界を知る二人が、長野の地で世界水準のウイスキーづくりに挑んでいます。
興味深いのは、その誕生の物語です。島岡は当初、閉鎖された軽井沢蒸留所の復活を望んでいました。しかしイアン・チャンは「自分たちにしか造れない最高の日本ウイスキーを造ろう」と説得。小諸が理想的なウイスキーづくりの条件と水を備えていたことから、この地での新たな挑戦が始まりました。旧軽井沢の名を継ぐのではなく、独自の物語を紡ぐ道を選んだのです。
ものづくりの哲学|長い蒸留が生む、リッチな酒質
小諸のものづくりは、細部まで思想が貫かれています。1バッチにモルト1トンを用い、基本はノンピートの輸入モルトを使用。年に一度だけ、フェノール値25ppmのピーテッドモルトを仕込みます。この「25」という数字は、名醸造家ジム・スワンの誕生日(12月25日)にちなんだもの。ウイスキーづくりの先人への敬意が、造りの随所に込められています。
蒸留設備にも独自の工夫があります。再留用のポットスチルを初留用より大きくすることで、蒸留に長い時間をかけ、リッチでコクのある「小諸らしい」酒質を目指しています。世界のトップを知るブレンダーの経験と、明確な設計思想——若い蒸溜所ながら、その完成度への期待は非常に高いものがあります。長野の先達、マルス駒ヶ岳蒸溜所の完全ガイドとあわせて読むのもおすすめです。
土地の風土|小諸の水と、理想の環境
小諸が選ばれた決め手は、ウイスキーづくりに理想的な環境と水でした。長野県東部の小諸は、浅間山の山麓に広がる高原の町。冷涼な気候と良質な水に恵まれ、原酒の熟成に適した条件が整っています。当初の候補地だった軽井沢にも近く、この一帯がウイスキーづくりの好適地であることを物語ります。
世界を知るつくり手たちが、あえて小諸を選んだ意味は大きいといえます。土地の自然の力を最大限に引き出し、そこに確かな技術と思想を掛け合わせる——小諸のウイスキーは、テロワールとクラフトマンシップの理想的な融合を目指しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在 / 操業 | 長野県小諸市 / 2023年 |
| マスターブレンダー | イアン・チャン(元カバラン) |
| 造りの特徴 | 1バッチ1トン・年1回25ppmピート・再留>初留の大型スチルで長時間蒸留 |
若い蒸溜所のため、リリースは限定が中心です。受賞歴や熟成年数はリリースごとに異なるため、購入時は公式情報を確認してください。当サイトは試飲に基づく味の断定は行いません。
現在と今後の期待|熟成を待つ、注目の原酒
小諸は2023年操業とまだ若く、本格的なシングルモルトは熟成の途上にあります。現状は熟成前後の初期リリースや限定ボトルが中心ですが、世界を知るブレンダーが明確な設計思想のもとで仕込んだ原酒だけに、その成長を追う楽しみは格別です。ニューメイクや若い原酒の段階から、将来の完成形を想像しながら味わうファンも少なくありません。
国際的な経験を持つイアン・チャンの手腕と、恵まれた小諸の環境。この二つが噛み合った先にどんなウイスキーが生まれるのか——日本のクラフトウイスキーの新たな旗手として、小諸への注目は年々高まっています。今後の熟成リリースは、ジャパニーズウイスキーの新章を告げる一本になるかもしれません。
ボトラーズ視点で見る小諸|原酒はほぼ公式(OB)で流通する
ボトラーズ(独立瓶詰業者)の視点で見ると、小諸の原酒は基本的に自社の公式ボトリング(OB)として流通し、海外ボトラーズが単独で瓶詰めした例はごく限られます。若く生産量も限られるため、リリースは数量限定中心です。したがって小諸を楽しむ王道は、公式のリリースを追うことにあります。日本の蒸溜所とボトラーズの関係を深く知りたい方は、厚岸のボトラーズ事情の記事もあわせてどうぞ。
Q: 小諸蒸留所はどんな蒸溜所ですか?
A: 長野県小諸市で2023年に製造を開始した新しい蒸溜所です。マスターブレンダーは台湾カバランを世界的ブランドに育てたイアン・チャン、創業者は元金融会社役員の島岡高志。世界を知る二人が、世界水準のジャパニーズウイスキーを目指しています。
Q: 小諸と軽井沢は関係がありますか?
A: 創業者の島岡氏は当初、閉鎖された軽井沢蒸留所の復活を望んでいました。しかしマスターブレンダーのイアン・チャンの説得により、旧軽井沢を継ぐのではなく「自分たちにしか造れない最高の日本ウイスキー」を目指す道を選び、近隣の小諸市に蒸溜所を構えました。旧軽井沢蒸留所とは別物です。
Q: 小諸のウイスキーづくりの特徴は何ですか?
A: 1バッチにモルト1トンを用い、年に一度フェノール値25ppmのピーテッドモルトを仕込みます(25はジム・スワンの誕生日にちなむ)。再留ポットを初留より大きくして蒸留に長い時間をかけ、リッチでコクのある酒質を目指すのが特徴です。世界水準の設計思想が貫かれています。
Q: 小諸のボトラーズ版(独立瓶詰)はありますか?
A: ほとんど流通していません。小諸の原酒は自社の公式ボトリングが中心で、海外ボトラーズが単独で瓶詰めした例は非常に限られます。若い蒸溜所のため、入手を狙うなら公式の限定リリースを追うのが現実的です。