スコットランド本土最北端のケイスネスに、5番目のウイスキー蒸溜所となるスタナーギル蒸溜所が誕生し、2026年に操業を開始した。北海岸の村キャッスルタウン、ジョン・オ・グローツとサーソのちょうど中間に位置し、人気の観光ルート「ノースコースト500」からもほど近い。蒸溜棟からはスコットランド本土最北部のダネット湾を一望できる。

建物は、1930年に操業を停止したキャッスルタウン製粉所の遺構を再利用したものだ。19世紀初頭にケイスネス産の石とスレートで築かれたグレードB指定の文化財で、食肉処理場や第二次大戦中の英空軍倉庫として使われた後、30年以上も廃墟となり「倒壊危機文化財」リストに載っていた。これを2020年に買い取り、観光施設を兼ねた蒸溜所へと再生させたのが、マーティン・マレーとクレア・マレーの夫妻である。

ジンの成功が新しい蒸溜所を支えた

マレー夫妻は、クラフトジン「ロックローズ」やウォッカ「ホーリーグラス」で知られるダネット・ベイ蒸溜所の創業者でもある。3kmほど離れた場所で続くジン事業の実績が信用となり、文化財を借り受けての立ち上げや、HSBC銀行からの融資取り付けを可能にした。屋根や石積みの目地の高額な補修には、歴史遺産を管轄するヒストリック・エンバイロメント・スコットランドの助成金が充てられたという。

資金面では、熟成前の段階で樽200本分を先行販売し、プロジェクトの原資に充てた。ポットスチルはスペイサイド・コッパー・ワークス製で、創業者夫妻の娘たちと同じ名前が付けられている。ケイスネスでは近年、新規蒸溜所の設立が相次いでおり、スコットランド最北の地が静かにウイスキー産地としての存在感を増している。仕込んだ原酒が瓶詰めされて市場に出るのは数年先になる見込みだ。

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出典: WHISKY Magazine Japan