英国の飲食店やバーなどの業務用チャネル(オントレード)において、RTD(Ready to Drink)製品の売上高が2億ポンド(約380億円)に迫る勢いで急成長していることが、最新の市場調査で明らかになった。缶入りカクテルや缶入りハイボールを中心としたRTD市場は、コロナ禍以降の消費者行動の変化を追い風に、英国全土のパブやレストラン、ナイトクラブなどで存在感を急速に高めている。
従来、RTD製品はスーパーマーケットなどの小売チャネル(オフトレード)での販売が中心とみられてきたが、近年は業務用市場においても消費者の需要が顕著に拡大している。特に若年層を中心に「手軽に高品質なカクテル体験を楽しみたい」というニーズが高まっており、バーテンダーによる本格カクテルの代替として、プレミアムなRTD製品への支持が広がっている。
ウイスキーベースのRTD製品も市場拡大の恩恵を受けており、スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーを使用したハイボールやジンジャーハイボールが人気を集めている。主要蒸留所ブランドが自社RTD製品のラインナップを拡充する動きも活発化しており、ウイスキーカテゴリー全体の裾野を広げる戦略ツールとして業界内での注目度が高まっている。
業界アナリストは、RTD市場の成長はカジュアルな飲酒シーンにおけるウイスキーの新たな入口になり得ると指摘する。従来のウイスキー消費者層とは異なる若い世代や女性消費者を取り込む手段として、RTD製品の戦略的活用はブランド育成においても有効なアプローチとなっている。
英国の業務用RTD市場は今後も拡大が予測されており、ウイスキーメーカーにとっても見逃せないカテゴリーとして、製品開発やマーケティング戦略の重要な軸に位置づけられつつある。日本市場においても、ハイボール缶の定着を経てプレミアムRTDへの移行が進むなか、英国での動向は大いに参考になるだろう。