蒸溜所の始まり
ウォルシュウイスキー(Walsh Whiskey)は、アイルランド南東部のキルケニー州ロイヤルオーク(Royal Oak, County Carlow)に位置する独立系ウイスキー蒸溜所です。創業者はバーナード・ウォルシュ(Bernard Walsh)とその妻ロサリン(Rosalind Walsh)。バーナードはかつてアイリッシュウイスキーの輸出・販売に携わっていた業界のプロフェッショナルであり、「アイルランドの地で自らウイスキーを造りたい」という強い信念を胸に、2015年に自社蒸溜所「ロイヤルオーク蒸溜所(The Royal Oak Distillery)」を完成させました。キルケニー近郊の緑豊かな農村地帯に佇むこの蒸溜所は、19世紀に建てられた歴史的な農場の建物を改修したもので、アイルランドの伝統と現代の蒸溜技術が見事に融合した空間となっています。総投資額は約1,000万ユーロにのぼり、アイリッシュウイスキーの復興を牽引する旗手として国内外から高い注目を集めています。
歴史・沿革
ウォルシュウイスキーの歴史は、蒸溜所設立以前のブランド立ち上げにまで遡ります。バーナード・ウォルシュは1999年に「ザ・ライターズティアーズ(The Writer’s Tears)」ブランドを立ち上げ、他社の蒸溜所(主にアイリッシュディスティラーズおよびクーリー蒸溜所)でウイスキーを製造委託しながら市場への認知を広めていきました。このノンエイジのアイリッシュブレンデッドウイスキーは瞬く間に世界的な人気を博し、日本を含む多くの市場で高い評価を獲得しました。
2015年、念願の自社蒸溜所「ロイヤルオーク蒸溜所」が竣工し、念願の自社蒸溜による生産体制が整います。翌2016年からは本格的な自社蒸溜が開始され、ポットスチルウイスキー、モルトウイスキー、グレーンウイスキーの三種類を製造できる体制が確立されました。また2014年には世界的なスピリッツ大手であるウィリアム・グラント&サンズ(William Grant & Sons)が同社の株式の一部を取得し、グローバルな流通網の強化に大きく貢献しました。近年では自社熟成原酒を使用したシングルポットスチルのリリースも始まり、独自のアイデンティティをさらに確固たるものとしています。
オーナーのこだわり
創業者バーナード・ウォルシュが一貫して掲げるのは、「アイルランドの伝統的なウイスキー製法への敬意と、現代的な革新の融合」という哲学です。特に彼が情熱を注ぐのが、アイルランド固有の製法であるシングルポットスチルスタイルの復興です。未発芽大麦を一定比率でマッシュに加えることで生まれる独特のスパイシーさとオイリーなテクスチャーを、現代の消費者にも届けたいという強い思いが製品に反映されています。また、地元キルケニー産やカーロウ産の大麦を積極的に使用するなど、テロワールへのこだわりも顕著です。熟成においてはバーボン樽とシェリー樽の組み合わせを基本としながら、コニャック樽やマデイラ樽などの多様なカスクフィニッシュにも積極的に挑戦。「飲む人の感情や記憶に寄り添うウイスキーを造る」というブランドコンセプトは、ライターズティアーズというブランド名にも象徴的に表れています。
テイスト プロファイル
ウォルシュウイスキーの味わいは、アイリッシュウイスキーらしい滑らかさを基軸に、シングルポットスチル由来のスパイシーさとフルーティーな甘みが調和した個性的なプロファイルを持ちます。
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 7 |
| 甘み | 7 |
| ビター | 4 |
スモークはほぼ感じられず、青リンゴや洋梨、柑橘系のフレッシュなフルーティーさが全体を支配します。シングルポットスチル由来のスパイシーさ(白胡椒、生姜)が中盤に顔を出し、バニラやはちみつの甘みが長い余韻を形成。苦みは穏やかで、全体的に飲みやすくバランスの取れたスタイルです。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| The Writer’s Tears Copper Pot 楽天で探す |
約4,500円 | 40% | バーボン樽+シェリー樽 | 青リンゴ、バニラ、はちみつ、白胡椒のスパイス。滑らかでフレッシュな飲み口。 |
| The Writer’s Tears Red Head 楽天で探す |
約6,500円 | 46% | オロロソシェリー樽フィニッシュ | ドライフルーツ、チョコレート、シナモン、オレンジピール。リッチで複雑な甘み。 |
| Irishman Founder’s Reserve 楽天で探す |
約5,000円 | 40% | バーボン樽+シェリー樽 | トフィー、洋梨、軽いスパイス。親しみやすくクリーミーなボディ。 |
| Irishman Single Malt 12年 楽天で探す |
約9,000円 | 43% | バーボン樽熟成 | 熟した桃、バニラクリーム、ほのかなオーク。エレガントで洗練されたフィニッシュ。 |
| The Irishman Single Pot Still 楽天で探す |
約12,000円 | 46% | バージンオーク樽+バーボン樽 | 未発芽大麦由来のオイリーさ、生姜、グリーンアップル、ライ麦のスパイス。力強く個性的。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| The Whisky Exchange Exclusive – Walsh Single Malt 楽天で探す |
約18,000円 | 55.3% | シングルバーボンホグスヘッド | 英国最大手ウイスキー専門店TWEによる限定シングルカスクボトリング。カスクストレングスで原酒の素顔を表現。 | 新鮮な洋梨、バニラ、白桃、麦芽の甘み。加水でフローラルさが開く。 |
| Cask 88 – Royal Oak Single Pot Still 楽天で探す |
約22,000円 | 57.1% | オロロソシェリーバット | スコットランドの独立ボトラーCask 88がリリースするシェリーカスク熟成の希少なシングルポットスチル。 | ダークチェリー、干しイチジク、ダークチョコレート、スパイシーな余韻が長く続く。 |
| Drinks by the Dram – Walsh Single Malt 10年 楽天で探す |
約15,000円 | 52.8% | ポートワイン樽フィニッシュ | マスターオブモルト傘下のボトラーによるポートフィニッシュ仕様。アイリッシュ原酒の果実味をポートが引き立てる。 | 赤ベリー、ラズベリージャム、スパイス、ミルクチョコレート。甘酸っぱいフィニッシュ。 |