蒸溜所の始まり
アベラワー蒸溜所は、スコットランド・スペイサイド地方の美しい渓谷に位置する蒸溜所です。その名はゲール語で「小川の合流点」を意味し、ラウリボーン川とスペイ川が交わる地に建てられたことに由来します。創業は1826年、ジェームズ・フレミングによって設立されたとされていますが、現在の蒸溜所の基礎は1879年にチャールズ・ドリュー・マクファーソンによって再建されたものです。スペイサイドの豊かな湧き水「ベン・リネス山」の伏流水を仕込み水に使用し、この地ならではの軟水がアベラワーの芳醇でフルーティーなキャラクターを形成しています。村全体がウイスキー文化と共に歩んできた歴史的な土地であり、蒸溜所はその中心的な存在として地域のアイデンティティそのものとなっています。
歴史・沿革
アベラワーの歴史は波乱に富んでいます。1826年の創業後、火災や経営難を経て1879年に再建。以降、幾度かの所有者変遷を経ながらもスペイサイドモルトとしての地位を確立していきました。1892年にはロバート・テインシュが買収し、蒸溜所の近代化を推進。20世紀初頭の禁酒法時代にはアメリカへの輸出が激減しましたが、ブレンデッドウイスキー向けの原酒供給によって経営を維持しました。1945年にはS・キャンベル&サンズが取得、その後1974年にはシーバス・ブラザーズ(現ペルノ・リカール傘下)が買収し、現在に至ります。ペルノ・リカール傘下となってからは積極的な設備投資と品質向上が図られ、シェリー樽熟成を軸としたラインナップが世界的に高い評価を受けるようになりました。特にフランス市場での人気は絶大で、長年にわたりフランスで最も売れているシングルモルトスコッチの一つとして君臨しています。2000年代以降はウイスキーブームの波に乗り、アジア市場でも急速に認知度を高めています。
オーナーのこだわり
現オーナーであるペルノ・リカールグループは、アベラワーを「シェリー樽熟成の名手」として世界に発信することに強いこだわりを持っています。同蒸溜所の哲学の核心は「ダブルカスクマチュレーション」と呼ばれる手法にあります。これはバーボン樽とオロロソシェリー樽の両方で熟成を行い、最終的にバッティングすることで複層的な風味を生み出す独自のアプローチです。マスターディスティラーは、地元スペイサイドの水と伝統的な銅製ポットスチルの形状が生み出す繊細な蒸溜液を最大限に活かすため、樽の選定と管理に特に力を注いでいます。また、蒸溜所はサステナビリティへの取り組みにも積極的で、地域環境との共生を大切にしながら次世代へ伝統を継承することを使命としています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 9 |
| スパイシー | 5 |
| 甘み | 8 |
| ビター | 4 |
アベラワーはシェリー樽由来の豊かな甘みとフルーティーさが際立つスペイサイドモルトの代表格です。レーズンや黒スグリ、熟したベリー類のアロマが芳醇に広がり、バニラやキャラメルのクリーミーな甘みが全体を包み込みます。ピートはほぼ使用されないためスモーキーさは控えめですが、シナモンやナツメグのほのかなスパイスがアクセントとなり、長く続く余韻に深みを与えています。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| Aberlour 12年 ダブルカスクマチュレーション 楽天で見る → |
約4,500円 | 40% | バーボン樽+オロロソシェリー樽 | バニラ・ハチミツ・レーズン・スパイス。バランスよく飲みやすい入門的な一本。 |
| Aberlour 16年 ダブルカスクマチュレーション 楽天で見る → |
約9,000円 | 40% | バーボン樽+オロロソシェリー樽 | ドライフルーツ・チョコレート・シナモン。12年より複雑で深みのある味わい。 |
| Aberlour 18年 シングルカスク 楽天で見る → |
約20,000円 | 43% | オロロソシェリー樽 | 濃厚なダークフルーツ・モカ・タンニン。シェリー樽の個性が全開の上質な一本。 |
| Aberlour A’bunadh(アブーナ) 楽天で見る → |
約9,500円 | 約61%(バッチにより変動) | オロロソシェリー樽(ノンチルフィルター・カスクストレングス) | プラム・チョコレート・スパイス・ほのかなオーク。力強く濃密、愛好家に絶大な人気を誇る。 |
| Aberlour 10年(フランス限定) 楽天で見る → |
約3,800円 | 40% | バーボン樽+シェリー樽 | リンゴ・バニラ・フローラル。フレッシュで軽やか、フランス市場で長年愛されるエントリーモデル。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| Gordon & MacPhail Aberlour 2011(ゴードン&マクファイル) 楽天で見る → |
約18,000円 | 57.2% | ファーストフィル・シェリーバット | スペイサイドの名門ボトラーが厳選したシェリー樽シングルカスク。産地の個性を忠実に表現。 | ブラックベリー・ダークチョコ・クローブ・タバコ。濃密で長い余韻が印象的。 |
| The Whisky Agency Aberlour 14年(ザ・ウイスキーエージェンシー) 楽天で見る → |
約22,000円 | 53.8% | リフィルホグスヘッド | ドイツの実力派ボトラーによる個性派リリース。樽由来の過剰な影響を抑えアベラワーの素直な蒸溜液の魅力を引き出す。 | 青リンゴ・洋ナシ・バニラ・ほのかな麦芽。フレッシュかつエレガントな仕上がり。 |
| Cadenhead’s Aberlour 15年(カデンヘッド) 楽天で見る → |
約19,000円 | 55.1% | バーボンバレル | スコットランド最古のボトラーが手がけるカスクストレングスリリース。加水・冷却ろ過なしで原酒の素顔に迫る。 | ハチミツ・熟した桃・バニラビーンズ・ほのかなオーク。柔らかく親しみやすい飲み口。 |
まとめ・最初の一本におすすめ
アベラワーをまだ飲んだことがない方は、公式ラインナップの中でも入手しやすい「Aberlour 12年 ダブルカスクマチュレーション」から試してみるのがおすすめです。シェリー樽由来のリッチな甘みとスペイサイドらしい柔らかさが両立した、飲みやすくも奥行きのある一本です。