蒸溜所の始まり
オルトモア蒸溜所は、スコットランド北東部のスペイサイド地方、バンフシャー州キースの近郊に位置する蒸溜所です。1896年、ジョン・トムソンによって設立されました。蒸溜所の名前「Aultmore」はゲール語で「大きな小川」を意味し、その名の通り、近隔を流れるMillndam Burnの豊富で清澄な水を仕込み水として活用しています。スペイサイドの中でも比較的穏やかな丘陵地帯に位置し、霧が立ち込めることが多い地域としても知られています。この濃霧はかつて「霧の国」と呼ばれるほどで、密造酒業者たちが霧に紛れて活動していたという歴史的な逸話も残っています。豊かな自然環境と良質な水源に恵まれたこの地は、クリーンでフルーティーなスペイサイドスタイルのウイスキーを生み出すのに理想的な環境を備えています。
歴史・沿革
オルトモア蒸溜所は1896年の創業以来、幾度かのオーナー変遷を経てきました。創業者ジョン・トムソンが設立した後、1923年にジョン・デュワー&サンズ社の傘下に入りました。デュワーズはブレンデッドウイスキーの原酒供給源としてオルトモアを積極的に活用し、その生産能力を高めていきました。1925年にはデュワーズがDCL(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)と合併したことで、オルトモアもDCLグループの一員となりました。その後、1987年にDCLがギネス社に買収されユナイテッド・ディスティラーズとなり、さらに1998年にはジョン・デュワー&サンズとともにバカルディ・リミテッドへ売却されました。バカルディ傘下のウイリアム・ローソン社がしばらく管理した後、現在はバカルディ・グループのジョン・デュワー&サンズ社がオルトモアを所有・運営しています。2004年には初のオフィシャルシングルモルトとして12年熟成ボトルがリリースされ、ブレンド原酒としての存在から脱却し、単一蒸溜所のウイスキーとして世界市場に登場しました。近年では熟成年数の異なるラインナップを拡充し、スペイサイドのオルタナティブとして注目を集めています。
オーナーのこだわり
現在オルトモアを管理するジョン・デュワー&サンズ社(バカルディ・グループ傘下)は、品質へのこだわりと伝統的な製法の継承を経営の柱に据えています。オルトモアの生産において特に重視されているのは「クリーンネス」です。発酵時間を長めに設定することで、フルーティーかつ軽やかなニューメイクスピリッツを生み出すことに注力しています。蒸溜には銅製のポットスチルを使用し、スピリッツのカット範囲を慎重に管理することで、雑味のないピュアな原酒を確保しています。また、熟成にはバーボン樽を中心に使用し、オルトモア特有のバニラや洋梨のような甘やかなフレーバーを引き出しています。マスターブレンダーのステファニー・マクラウドは「オルトモアは控えめながらも個性的なスペイサイドの代表格」と語っており、過度な加工を避けたナチュラルな仕上がりを追求する姿勢が一貫しています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 4 |
| 甘み | 7 |
| ビター | 3 |
オルトモアはスモークをほとんど感じさせないノンピートのスペイサイドスタイルで、フレッシュな洋梨やリンゴを思わせるフルーティーさが際立ちます。バーボン樽由来のバニラや蜂蜜の甘みが全体をやさしく包み、ほのかな草花のニュアンスと白胡椒のようなスパイスがアクセントを添えます。口当たりは滑らかでクリーンであり、余韻は穏やかで飲みやすく、ウイスキー初心者から上級者まで幅広く楽しめる味わいです。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| Aultmore 12年 楽天で見る → |
約4,500円 | 46% | バーボン樽 | 洋梨・青リンゴ・バニラ・蜂蜜の甘み。クリーンでフレッシュな飲み口。 |
| Aultmore 18年 楽天で見る → |
約12,000円 | 46% | バーボン樽+シェリー樽 | 熟したトロピカルフルーツ・ドライフルーツ・オークスパイス。深みのある甘みと長い余韻。 |
| Aultmore 21年 楽天で見る → |
約25,000円 | 46% | バーボン樽+シェリー樽 | チョコレート・ドライフルーツ・レザー・バニラ。複雑でリッチな味わい。 |
| Aultmore 25年 楽天で見る → |
約60,000円 | 46% | リフィルバーボン樽 | 熟成感たっぷりのオーク・ウォールナット・蜂蜜・微かなシトラス。エレガントで円熟した余韻。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| Gordon & MacPhail Aultmore 2009 (Connoisseurs Choice) 楽天で見る → |
約9,000円 | 46% | リフィルバーボン樽 | 老舗ボトラーGMによるオルトモアの個性を素直に表現したシリーズ | 青リンゴ・洋梨・バニラ・ほのかな麦芽感。軽やかでクリーンな仕上がり。 |
| Cadenhead’s Aultmore 13年 楽天で見る → |
約11,000円 | 57.2% | バーボンホグスヘッド | スコットランド最古のボトラーによるカスクストレングス仕様 | グレープフルーツ・バニラ・白胡椒・蜂蜜。力強くも華やかなフルーティーさ。 |
| The Whisky Agency Aultmore 15年 楽天で見る → |
約18,000円 | 51.8% | シェリーバット | ドイツの独立ボトラーによるシェリー樽フィニッシュで複雑さを付加 | レーズン・ダークチョコ・スパイス・オレンジピール。濃厚でスパイシーな余韻。 |