蒸溜所の始まり
クラガンモア蒸溜所は、1869年にジョン・スミスによってスコットランド・スペイサイド地方のバリンダロッホ近郊、スペイ川沿いの豊かな自然に囲まれた地に設立されました。その名は蒸溜所が建つ「クラガンモアの丘」に由来しています。ジョン・スミスはグレンリベットやマクダフなど複数の蒸溜所で経験を積んだ、当時スコットランドで最も熟練したディスティラーの一人と評されており、その知識と情熱をすべて注ぎ込んでこの地に理想の蒸溜所を築きました。立地の選定にあたっては、グレート・ノース・オブ・スコットランド鉄道の路線に隣接していることが重視されており、ウイスキーの輸送効率を最大化するという実業家としての先見性も光っています。豊富な湧き水と良質な大麦、そして冷涼なスペイサイドの気候が重なり合い、この地はシングルモルト生産の理想郷として機能し続けています。
歴史・沿革
1869年の創業以来、クラガンモアはスペイサイドを代表する蒸溜所として着実に歴史を積み重ねてきました。創業者ジョン・スミスは1886年に逝去しますが、その後は息子のゴードン・スミスが経営を引き継ぎ、品質を守り続けました。1901年にゴードンも他界すると、蒸溜所はホワイト・ファーカーソン社の管理下に移行します。その後、1923年にピーターとメアリー・グラントのマクニー家へ売却され、経営が刷新されました。
1960年代にはスコッチウイスキー産業全体のブームを背景に設備が拡張され、1964年にはポットスチルの基数が増設されました。1988年には、ユナイテッド・ディスティラーズ(現在のディアジオ)の傘下となり、同社が展開する「クラシック・モルト・オブ・スコットランド」シリーズのスペイサイド代表銘柄として選出されたことで、クラガンモアの名は世界に広く知れ渡ることとなりました。現在もディアジオが所有・運営しており、シングルモルトとしての地位を揺るぎないものにしています。
オーナーのこだわり
現オーナーであるディアジオは、クラガンモアの伝統的な製法を徹底して守ることを経営方針の柱に据えています。特に注目すべきは、クラガンモア独自のポットスチルの形状です。スチルのネック部分が平らに切り取られた「フラットトップ型」という非常に珍しい設計が採用されており、これにより蒸気の還流が促進され、軽やかでありながら複雑なフレーバーが生まれます。また、ウォームタブ(冷却槽)による旧式の冷却方法を現在も維持しており、コンデンサーへの移行が主流となった現代においても、あえて伝統的な製法を堅持しています。この姿勢はディアジオの「クラシック・モルト」ブランドの理念とも合致しており、スペイサイドの正統な味わいを次世代へ継承することを最上の使命と位置づけています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 5 |
| 甘み | 7 |
| ビター | 4 |
クラガンモアはスモークをほぼ感じさせないエレガントなスペイサイドスタイルが特徴です。熟したリンゴや洋梨、オレンジピールなどのフルーティーなアロマが中心に据えられ、バニラやハチミツの柔らかな甘みが全体を包み込みます。口に含むとスパイスのニュアンスが顔を出し、複雑さを添えます。ビターは控えめながら後半にほのかなオーク由来の渋みが現れ、長く続くフィニッシュへと繋がります。初心者からベテランまで幅広く楽しめる、スペイサイドの教科書的なモルトです。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| クラガンモア 12年 楽天で探す |
¥5,500〜¥6,500 | 40% | バーボン樽+シェリー樽 | 熟したフルーツ、バニラ、ハチミツ、ほのかなスパイス。バランスの良いスペイサイドの入門版。 |
| クラガンモア 特別版 ディスティラーズ・エディション 楽天で探す |
¥9,000〜¥11,000 | 40% | バーボン樽熟成後ポートワイン樽フィニッシュ | ダークチェリー、プラム、チョコレート、ドライフルーツ。リッチでまろやかな仕上がり。 |
| クラガンモア 特別公開 2023 楽天で探す |
¥20,000〜¥25,000 | 55%前後(カスクストレングス) | ファーストフィル・バーボン樽 | トロピカルフルーツ、バニラクリーム、白胡椒、オークのタンニン。力強さと繊細さが共存。 |
| クラガンモア 25年 楽天で探す |
¥60,000〜¥80,000 | 45% | リフィル・シェリー樽 | ドライフルーツ、古木、革、シナモン、深いコク。長期熟成ならではの威厳ある複雑味。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| Gordon & MacPhail Cragganmore 15年 楽天で探す |
¥18,000〜¥22,000 | 46% | ファーストフィル・シェリーバット | スペイサイドの正統派をシェリー樽でリッチに表現。ノンチルフィルタード。 | レーズン、オレンジマーマレード、ミルクチョコレート、ほのかなナッツ。余韻は長く甘い。 |
| Signatory Vintage Cragganmore 12年 カスクストレングス 楽天で探す |
¥15,000〜¥20,000 | 58〜60% | リフィル・バーボンホグスヘッド | 原酒本来の力強さを損なわずボトリング。シングルカスク・ナチュラルカラー。 | 青リンゴ、麦芽、バニラ、白胡椒、爽やかなハーブ。ストレートでもウォーターでも映える骨格。 |
| Cadenhead’s Cragganmore 18年 楽天で探す |
¥25,000〜¥32,000 | 54% | バーボン樽+オロロソシェリー樽フィニッシュ | 老舗ボトラーならではの目利きで選んだ熟成カスク。希少性が高くコレクター人気も高い。 | 洋梨のコンポート、干しアプリコット、黒糖、スパイス、柔らかいオーク。複雑で品格ある一本。 |