蒸溜所の始まり
グレンキース蒸溜所は、スコットランド北東部、スペイサイドの中心地であるキース(Keith)の町に位置しています。蒸溜所はエイラ川(River Isla)のほとりに建ち、豊富な水源と清冽な軟水を仕込み水として活用しています。この地はウイスキー生産に理想的な環境として古くから知られており、周辺にはストラスアイラ蒸溜所など歴史ある蒸溜所が点在しています。
設立されたのは1957年で、オーナーはシーバスブラザーズ(Chivas Brothers)です。戦後の需要拡大に応えるべく、ブレンデッドウイスキー用のグレーンモルトを安定確保するための補完的施設として設計されました。建設に際しては既存の製粉工場の建物を改装・流用しており、スペイサイドの伝統的な石造り建築の外観を持ちながら、当時としては近代的な設備を備えた施設として完成しました。スペイサイドという恵まれた地域性と、親会社の強力なバックアップのもと、グレンキースは誕生当初からブレンデッドウイスキーの重要な供給源として機能してきました。
歴史・沿革
グレンキースの歴史は、スコッチウイスキー産業の変遷と深く結びついています。1957年に設立されたこの蒸溜所は、シーバスブラザーズの傘下として「シーバスリーガル」や「ロイヤルサルート」といった世界的ブレンデッドウイスキーの原酒供給という重要な役割を担ってきました。
1970年代には、業界に先駆けてガスタービンを動力源として試験的に導入するなど、技術革新にも積極的に取り組みました。また、同時期にはトリプルディスティレーション(三回蒸溜)の実験が行われており、アイリッシュウイスキーのスタイルを意識した軽やかな原酒の製造にも挑戦しています。
1980年代から1990年代にかけては、ウイスキー業界全体の低迷期と重なり、1999年に一度閉鎖を余儀なくされます。その後、シーバスブラザーズを傘下に持つペルノ・リカール(Pernod Ricard)グループのもとで2013年に生産を再開。最新設備への大規模な投資が行われ、現代的な蒸溜所として復活を遂げました。再開後はシングルモルトとしての単独ボトリングにも注力し始め、2017年には初の公式シングルモルトとして「グレンキース 20年」がリリースされ、業界から高い注目を集めました。現在もペルノ・リカール傘下のシーバスブラザーズが所有・運営しています。
オーナーのこだわり
現在グレンキースを運営するシーバスブラザーズ(ペルノ・リカール傘下)は、スペイサイドウイスキーの伝統を守りながらも、革新的なアプローチを積極的に取り入れることをブランドの核心に置いています。同社のマスターブレンダーであるサンディ・ヒスロップ(Sandy Hieslop)をはじめとするチームは、グレンキースをブレンドの縁の下の力持ちとしてだけでなく、スペイサイドを代表するシングルモルトとして世界に発信することに強い信念を持っています。
製造面では、多様なイーストの使用や発酵時間の緻密なコントロール、銅製ポットスチルの形状を活かしたフルーティーかつフローラルな原酒づくりにこだわっています。熟成においても、バーボン樽に加えてシェリー樽やその他のカスクを積極的に活用し、複雑味とエレガンスを兼ね備えた原酒を追求しています。再稼働後の設備投資では、環境への配慮もテーマとして掲げており、持続可能な蒸溜所運営を目指す姿勢も現オーナーの哲学を体現しています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 5 |
| 甘み | 7 |
| ビター | 4 |
グレンキースはスモークをほとんど感じさせないライトでクリーンなスタイルが特徴です。洋梨、青リンゴ、ピーチといったフレッシュなフルーツのアロマが中心を占め、ハチミツやバニラクリームの甘みがそれを柔らかく包みます。スパイシーさは控えめながら、ジンジャーやシナモンのほのかなニュアンスが奥行きを加えています。全体的にエレガントで飲みやすく、スペイサイドらしい上品な味わいが初心者からシングルモルト愛好家まで広く楽しめる一本です。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| Glen Keith 20年 楽天で探す |
約18,000円 | 43% | バーボン樽+シェリー樽 | 洋梨、トロピカルフルーツ、バニラ、ほのかなスパイス。滑らかな口当たりとほろ苦いオーク。 |
| Glen Keith 21年(スペシャルリリース) 楽天で探す |
約25,000円 | 43% | ファーストフィルバーボン樽 | アプリコット、ハチミツ、ホワイトフラワー。軽やかでフローラルなフィニッシュ。 |
| Glen Keith 25年(スペシャルリリース) 楽天で探す |
約50,000円 | 43% | バーボン樽+シェリーバット | ドライフルーツ、ダークチョコレート、オレンジピール。リッチで複雑な長熟の余韻。 |
| Glen Keith Distillery Edition NAS 楽天で探す |
約8,000円 | 40% | バーボン樽 | グリーンアップル、メロン、バニラトフィー。軽快でフレッシュ、入門にも最適。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| Gordon & MacPhail Glen Keith 1993 30年 楽天で探す |
約45,000円 | 57.4% | ファーストフィルシェリーバット | 長期熟成の希少品。閉鎖前の原酒を丁寧に熟成させたプレミアムリリース。 | プラム、レーズン、ダークチョコ、スモークドオーク。力強く複雑なフルボディ。 |
| Cadenhead’s Glen Keith 2000 22年 楽天で探す |
約22,000円 | 54.8% | バーボンホグスヘッド | ノンチルフィルター・無着色。カデナヘッドらしい自然体のカスクストレングスリリース。 | 熟した洋梨、バニラ、ジンジャー、軽いオーク。ピュアで伸びやかな余韻。 |
| The Whisky Agency Glen Keith 2007 15年 楽天で探す |
約18,000円 | 52.1% | リフィルバーボン樽 | ドイツの独立ボトラーによるセレクト。再稼働直前期の原酒でコレクター人気が高い。 | 白桃、グレープフルーツ、ホワイトペッパー、ハチミツ。エレガントでバランス良好。 |