蒸溜所の始まり
白州蒸溜所は、1973年にサントリー(現・サントリーホールディングス)によって山梨県北杜市白州町に設立されました。南アルプスの甲斐駒ヶ岳を望む標高約700メートルの高地に位置し、日本屈指の天然水の産地として知られる尾白川の伏流水を仕込み水に使用しています。創業者である鳥井信治郎の意志を継いだ二代目・佐治敬三が「森の蒸溜所」というコンセプトのもと開設を決断。広大なブナやカエデの原生林に囲まれた自然環境は、ウイスキーの熟成に理想的な冷涼な気候をもたらし、スコットランドの蒸溜所にも匹敵する環境条件を日本国内で実現しました。敷地面積は約82万坪にも及び、その大部分が緑豊かな森林で覆われており、「森の蒸溜所」の名にふさわしい景観を誇ります。
歴史・沿革
1973年の創業以来、白州蒸溜所はサントリーのシングルモルト戦略の中核を担ってきました。設立当初は山崎蒸溜所に次ぐ第二の生産拠点として稼働を開始。1981年には「白州」の名を冠したシングルモルトウイスキーが初めてリリースされ、国内外から高い評価を受けました。1994年には「白州12年」が正式にラインナップに加わり、フレッシュかつスモーキーなスタイルが世界のウイスキーファンに認知されるきっかけとなりました。2003年には蒸溜所開設30周年を記念した特別ボトルが発売され、ブランドの地位をさらに確固たるものとしました。2000年代以降の日本ウイスキーブームを受け、白州の需要は急激に増大。その影響から2018年には一時的に「白州12年」の販売休止という異例の事態も発生しましたが、生産体制の整備を経て2020年に販売を再開。現在もサントリーの主力銘柄として世界各地で愛飲されています。蒸溜所内にはウイスキー博物館やバードサンクチュアリも併設されており、年間多くの観光客が訪れる観光スポットとしての顔も持ちます。
オーナーのこだわり
現在、白州蒸溜所はサントリースピリッツ株式会社が運営し、チーフブレンダーを中心とした専門チームが品質管理を担っています。サントリーが一貫して掲げるのは「自然と共生するウイスキーづくり」という哲学です。南アルプスの清冽な水と冷涼な空気を最大限に活かし、ピートを適度に使用したモルトからフレッシュでグリーンな香味を引き出すことを最優先としています。また、蒸溜器の形状・サイズを多様に取り揃えることで、異なるキャラクターの原酒を生み出し、ブレンドの幅を広げる工夫も凝らしています。熟成においてはバーボン樽・シェリー樽・ミズナラ樽を使い分け、特にミズナラ樽由来のオリエンタルな香りは白州の個性を際立たせる重要な要素です。「人と自然と響きあう」というサントリーグループの理念のもと、環境保全活動にも積極的に取り組んでいます。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 5 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 4 |
| 甘み | 6 |
| ビター | 4 |
白州のフレーバーはひとことで言えば「森林浴」。青リンゴや洋梨を想わせるフレッシュなフルーティーさが全体を支配し、ほのかなピートスモークが心地よいアクセントを加えます。甘みはバニラやはちみつのように穏やかで、ビターやスパイシーは控えめ。全体的にクリーンで軽快なボディが特徴であり、ハイボールにしたときの爽快感は格別です。ミズナラ樽由来のお香のようなオリエンタルなニュアンスも複雑さに貢献しています。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| 白州 ノンエイジ | 約5,500円 | 43% | バーボン樽・シェリー樽 | 青リンゴ、ミント、ほのかなスモーク。軽快でフレッシュな飲み口。 |
| 白州 12年 | 約12,000円 | 43% | バーボン樽・シェリー樽 | 洋梨、グリーンハーブ、バニラ、柔らかなピートスモーク。バランス秀逸。 |
| 白州 18年 | 約55,000円 | 43% | バーボン樽・ミズナラ樽 | 熟した果実、お香、ダークチョコレート、上品なスモーク。深みと複雑さが際立つ。 |
| 白州 25年 | 約220,000円 | 43% | シェリー樽・ミズナラ樽 | ドライフルーツ、伽羅、スパイス、長い余韻。プレミアム感漂う至高の一本。 |
| 白州 蒸溜所限定ボトル | 約15,000円〜 | 48〜55% | バーボン樽(カスクストレングス) | 生き生きとした果実感、清澄な水のような透明感、ピリッとしたスパイス。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| The Whisky Agency Hakushu 2011 | 約65,000円 | 52.4% | バーボンホグスヘッド | ドイツの著名ボトラーが厳選した独立瓶詰め。透明感あるシングルカスク。 | 白桃、レモングラス、清涼感のあるスモーク、ほのかなバニラ。 |
| Signatory Vintage Hakushu 2013 | 約55,000円 | 56.0% | リフィルバットホグスヘッド | スコットランドの老舗ボトラーによる日本ウイスキーシリーズの一本。 | グリーンアップル、ミント、ジンジャー、軽いピートとウッディネス。 |
| Chieftain’s Hakushu 10年 | 約45,000円 | 43% | バーボン樽フィニッシュ | Ian Macleod系列が手がけるアジア向けリリース。フレッシュさを前面に押し出した構成。 | 若草、洋梨ジュース、バニラクリーム、後味にほのかなスモーク。 |