蒸溜所の始まり
Roe & Co(ロー&コー)蒸溜所は、アイルランドの首都ダブリンの中心部、リフィー川南岸に広がるリバーサイド地区、かつてギネスのビール工場群が立ち並んでいたディジタル・ハブ(Digital Hub)エリアに位置しています。2019年に正式オープンしたこの蒸溜所は、ウイスキー大手ディアジオ(Diageo)が手がけるアイリッシュウイスキーブランドとして設立されました。施設そのものは19世紀に建造された旧発電所の建物を改修したもので、歴史的な赤レンガの外観と最新の蒸溜設備が融合した印象的な空間を誇ります。ダブリン市内の観光スポットとしても人気が高く、ウイスキーツアーやテイスティング体験を求める多くの訪問者を集めています。ブランド名の「Roe」は、19世紀にダブリン最大のウイスキー蒸溜所を築いたジョージ・ロー(George Roe)への敬意を込めて命名されており、アイリッシュウイスキーの黄金時代を現代に甦らせるという強いメッセージが込められています。
歴史・沿革
ロー&コーの歴史を語るには、まずその名の由来であるジョージ・ロー&カンパニーについて触れなければなりません。19世紀半ばから後半にかけて、ジョージ・ローはダブリンのトーマス・ストリートに巨大な蒸溜所を構え、当時のアイルランドおよびイギリスで最大規模のウイスキー生産者の一人として名を馳せました。最盛期には年間何百万リットルものウイスキーを生産し、世界中に輸出していましたが、19世紀末から20世紀初頭にかけてのアイルランド独立戦争、禁酒法時代の輸出市場崩壊、さらにスコッチウイスキーの台頭などが重なり、1926年に蒸溜所は閉鎖を余儀なくされました。
その後、アイリッシュウイスキー全体が長い冬の時代を経る中、2014年にディアジオがロー&コーのブランドを立ち上げ、まずボトリングのみの形でウイスキーをリリースしました。そして2019年、旧発電所を改修した現在の蒸溜所がオープンし、ダブリンでの自社蒸溜が本格始動。近年のアイリッシュウイスキーブームと相まって、ブランドの認知度は国内外で急速に高まっています。
オーナーのこだわり
ロー&コーを運営するディアジオは、世界最大級のスピリッツメーカーとして知られていますが、このブランドに関しては単なる量産品ではなく、アイリッシュウイスキーの伝統と革新を両立させることに強いこだわりを持っています。マスターブレンダーのキャロライン・マーティン(Caroline Martin)をはじめとするチームは、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキー、モルトウイスキーといったアイリッシュウイスキーの多様なスタイルを精巧にブレンドすることで、飲みやすさと深みを兼ね備えた味わいを追求しています。また、使用するカスクの選定にも妥協がなく、バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽など多彩な熟成環境を活用することで、複雑でありながらバランスの取れたフレーバーを実現しています。蒸溜所のビジターエクスペリエンスにも力を入れており、カクテルカルチャーとウイスキー文化を融合させた体験型プログラムは、次世代のウイスキーファン育成という観点からも高く評価されています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) |
|---|---|
| スモーキー | 2 |
| フルーティー | 8 |
| スパイシー | 6 |
| 甘み | 8 |
| ビター | 3 |
ロー&コーのフレーバープロファイルは、アイリッシュウイスキーらしい軽やかさとなめらかさを基調としています。バーボン樽由来のバニラやキャラメルの甘みが全体を包み、洋梨やリンゴ、オレンジピールといったフレッシュなフルーツ感が重なります。スモーキーさはほぼ感じられず、スパイス感も程よい程度で、全体的に飲みやすくアクセスしやすいプロファイルです。アイリッシュポットスチル由来のスパイシーなニュアンスがアクセントとなり、余韻に心地よい複雑さをもたらしています。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| Roe & Co Blended Irish Whiskey 楽天で探す |
約4,500円 | 45% | バーボン樽 | バニラ、洋梨、ハチミツ、軽いスパイス。なめらかでバランスの取れたフィニッシュ。 |
| Roe & Co Cask Strength 楽天で探す |
約7,000円 | 55.9% | バーボン樽・シェリー樽 | 濃厚なトフィー、ドライフルーツ、シナモン。力強い余韻とリッチなボディ感。 |
| Roe & Co Limited Edition(年次リリース) 楽天で探す |
約9,000円〜 | 46% | 特殊仕上げ樽(年によって異なる) | 各年のキャラクターを反映。フルーツケーキ、チョコレート、オークのニュアンス。 |
| Roe & Co Cognac Cask Finish 楽天で探す |
約8,000円 | 45% | コニャック樽フィニッシュ | グレープ、アプリコット、フローラルなアロマ。エレガントで華やかな余韻。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| The Whisky Exchange Exclusive – Roe & Co Single Cask 楽天で探す |
約15,000円 | 58% | ファーストフィルバーボン樽 | 英国最大のウイスキー専門店TWEによるシングルカスク。少量限定。 | バニラビーンズ、グリーンアップル、ジンジャー。クリーンでシャープな余韻。 |
| Speciality Drinks – Roe & Co Sherry Finish 楽天で探す |
約13,000円 | 54% | オロロソシェリー樽フィニッシュ | スペシャリティドリンクスによるシェリー樽フィニッシュ特別仕様。 | ダークチェリー、レーズン、ナッツ。豊かな甘みとほのかなタンニン。 |
| Claxton’s – Roe & Co Single Malt Release 楽天で探す |
約12,000円 | 52% | ワイン樽(ボルドー系) | 英国ボトラーのクラクストンズによるワイン樽熟成アイリッシュモルト。 | レッドベリー、バイオレット、ホワイトペッパー。エレガントかつ個性的な一本。 |