蒸溜所の始まり
ロイヤル・ブラックラ蒸溜所は、スコットランド・ハイランド地方のナーンシャー(Nairnshire)、インヴァネスの東約15kmに位置するコーダー(Cawdor)村の近郊に佇む歴史ある蒸溜所です。1812年、ウィリアム・フレイザー(William Fraser)によって創業されました。周囲を豊かな農地と深い森林に囲まれたこの地は、古くからウイスキー造りに適した良質な水源と気候に恵まれており、フレイザーはその自然環境を最大限に活かした蒸溜所の建設を決意しました。蒸溜所の名前「ブラックラ」は、近くを流れるブラックラ・バーン(Brackla Burn)に由来しており、この清冽な水が仕込み水として使用されています。ハイランドの雄大な自然の中に溶け込むように佇むその姿は、創業から200年以上が経過した現在も変わらず、スコッチウイスキーの伝統と格式を体現しています。
歴史・沿革
ロイヤル・ブラックラ最大の特筆すべき出来事は、1833年にイギリス国王ウィリアム4世(King William IV)から王室御用達の称号「ロイヤル(Royal)」を授与されたことです。これはスコットランドの蒸溜所として初めて王室の認定を受けた歴史的快挙であり、「ロイヤル」の冠を持つ数少ない蒸溜所の一つとして現在も誇り高くその名を冠しています。その後、1898年にはノース・ブリティッシュ・ディスティラリー・カンパニー(North British Distillery Company)へ所有が移り、20世紀に入ると幾度かの改修と拡張を経験しました。1943年には一時閉鎖を余儀なくされましたが、1966年に再稼働を果たしています。1985年にはユナイテッド・ディスティラーズ(後のディアジオ)の傘下となり、長年にわたりブレンデッドウイスキーの原酒供給蒸溜所として重要な役割を担いました。2014年にはバカルディ(Bacardi)グループのジョン・デュワー&サンズ(John Dewar & Sons)に買収され、シングルモルトとしての本格的なボトリングと世界的なブランド展開が始まりました。この買収を機に、オフィシャルラインナップが大幅に刷新され、ロイヤル・ブラックラは新たな黄金期を迎えることになります。
オーナーのこだわり
現オーナーであるジョン・デュワー&サンズ(バカルディ傘下)は、「ロイヤル」の称号にふさわしい品質と格式をウイスキー造りの根幹に据えています。マスターブレンダーのステファニー・マクラウド(Stephanie Macleod)が率いるチームは、ロイヤル・ブラックラの持つ上品なフルーティーさと繊細なスパイス感を引き出すため、熟成樽の選定に特別なこだわりを持っています。特にシェリー樽との相性を重視しており、スパニッシュ・オロロソ・シェリー樽やペドロ・ヒメネス(PX)シェリー樽を積極的に採用することで、ドライフルーツや甘いスパイスの複雑な風味を醸し出しています。また、ファーストフィル樽を重用することで、より濃厚な樽由来のキャラクターを原酒に与えるアプローチも特徴的です。「王室御用達の誇りを現代に受け継ぐ」という明確なビジョンのもと、妥協なき品質管理と革新的な熟成実験が日々行われており、ハイランドモルトの新たな可能性を切り拓いています。
テイスト プロファイル
| フレーバー軸 | スコア(1〜10) | 印象 |
|---|---|---|
| スモーキー | 2 | ほぼノンピート。クリーンで澄んだ印象。 |
| フルーティー | 8 | 熟したリンゴ、洋梨、ドライアプリコット。 |
| スパイシー | 6 | シナモン、ナツメグ、クローブのウォームスパイス。 |
| 甘み | 7 | 蜂蜜、バニラ、ダークチョコレートの柔らかな甘さ。 |
| ビター | 4 | オーク由来のほろ苦さが余韻に心地よく残る。 |
ロイヤル・ブラックラは、スモーキーさを極力抑えたクリーンなハイランドモルトです。熟したフルーツの豊かなアロマと、シェリー樽由来の蜂蜜・バニラの甘みが優雅に絡み合い、飲み手を上品な世界へと誘います。シナモンやナツメグなどのウォームスパイスが中盤に顔を出し、フィニッシュにはオーク由来のほのかなビターが余韻を引き締めます。全体的にバランスが良く、シングルモルト初心者からベテランまで幅広く楽しめる懐の深い味わいが魅力です。
オフィシャルボトルラインナップ
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|
| Royal Brackla 12年 | ¥5,500〜¥6,500 | 40% | アメリカンオーク+オロロソシェリー樽 | 蜂蜜、バニラ、熟したリンゴ、かすかなシナモン。滑らかで親しみやすいエントリー的存在。 |
| Royal Brackla 16年 | ¥12,000〜¥15,000 | 40% | ファーストフィル・オロロソシェリー樽 | ダークフルーツ、レーズン、チョコレート、スパイス。シェリー感が前面に出たリッチな味わい。 |
| Royal Brackla 18年 | ¥18,000〜¥22,000 | 46% | ファーストフィル・PXシェリー樽フィニッシュ | プルーン、イチジク、ダークチョコ、ウォームスパイス。複雑で深みのある熟成感。 |
| Royal Brackla 21年 | ¥35,000〜¥45,000 | 46% | アメリカンオーク+シェリー樽フィニッシュ | ドライフルーツ、オレンジピール、スパイス、タバコの葉。格調高いフィニッシュが長く続く。 |
| Royal Brackla 30年 | ¥120,000〜 | 46% | オロロソシェリー樽長期熟成 | 老樹のオーク、乾燥フルーツ、革、バルサミコ。ロイヤルの名にふさわしい至高の一本。 |
ボトラーズ代表銘柄(現行品)
| 銘柄名 | 参考価格 | 度数 | 熟成樽 | コンセプト | テイスティングノート |
|---|---|---|---|---|---|
| Gordon & MacPhail Royal Brackla 2011 | ¥18,000〜¥22,000 | 46% | ファーストフィル・シェリーホグスヘッド | G&Mの豊富な熟成庫から選び抜かれた個性的なシングルカスク。蒸溜所本来の素直な個性を引き出す。 | 熟したベリー、ジンジャー、クリーミーなバニラ、オーク。バランスの取れた上品な仕上がり。 |
| Cadenhead’s Royal Brackla 12年 | ¥14,000〜¥17,000 | 57.8% | バーボンバレル | カスクストレングスで蒸溜所の生の風味を体感できる。無着色・無冷却濾過のピュアなボトリング。 | 青リンゴ、洋梨、バニラ、白コショウ。ハイプルーフながら軽快で爽快な飲み口。 |
| The Whisky Agency Royal Brackla 2008 | ¥25,000〜¥32,000 | 53.4% | リフィルオロロソシェリーバット | ドイツの名門ボトラーによる希少シングルカスク。コレクター垂涎のリミテッドリリース。 | ドライフルーツ、タンジェリン、ミルクチョコレート、微かなスモーク。複雑かつエレガント。 |